静岡県で製造業を営むＡ社は、経営再建のさなかにコロナショックに見舞われた。どうしてよいか分からずに困っていた時、メインバンクに紹介された石塚啓治税理士の支援のもと、資金調達の道筋をつける。それは、業績管理体制の構築を着実に進めていくＡ社長の姿勢を、金融機関が高く評価したからでもあった。

〈社長の声〉
当社は、近年の業績悪化から、中小企業再生支援協議会の支援を受けて経営再建を目指していました。そのさなかに、コロナショックに見舞われ、売り上げが大幅にダウン。資金繰りが悪化し、途方に暮れていたときにメインバンクが紹介してくれたのが、経営改善や資金調達支援に定評がある石塚啓治税理士事務所でした。

当社は３月決算であるため、まずは決算と申告についてのサポートを依頼しました。併せて会社の業績内容について精査してもらったところ、「メインバンクに対して一部返済をしていたものを含めて、全部リスケ（返済猶予）に変更しましょう」と提案があり、受け入れることにしました。また、資金繰りの悪化により取引業者などに対する未払金が発生していることから、メインバンクに新規融資の相談をすることにしました。

巡回監査の結果を毎月報告
後日、石塚先生と一緒にメインバンクを訪問し、リスケと新規融資についてお願いしました。その際には、石塚先生が次のように説明されました。「これからＴＫＣの経営計画策定システム（継続ＭＡＳシステム）を使って予算（単年度計画）の策定をします。その計画の進捗状況については、会計システムの『ＦＸ２』で管理を行い、当事務所が毎月、巡回監査をします。月次の巡回監査の結果を毎月、『ＴＫＣモニタリング情報サービス（ＭＩＳ／※１）』を通じて貴行に電子データで提供することをお約束します」。

担当の行員さんはうなずきながら、「そこまでやってもらえるのなら、当行もできる限りの支援を考えましょう」とおっしゃってくれました。

業績管理の効果を実感
その半月後、「新型コロナウイルス感染症特例リスケジュール」（特例リスケ）の制度を利用するかたちで、全ての借入金のリスケが認められました。さらに、セーフティネット保証４号（新型コロナウイルス感染症関連）認定の4000万円の融資を受けることもできました。

その二つが実現されたのは、当社がこれから実施する月次決算と業績管理の仕組みを金融機関が高く評価してくれたからにほかなりません。

現在、会社の経営幹部とともに単年度計画を策定し、その進捗状況を「ＦＸ２」で日々管理しています。月次決算体制を築いたことにより、経営課題が即座に分かるようにもなりました。会計の活用による業績管理の効果を、今まさに実感しています。

※１）ＴＫＣモニタリング情報サービス（ＭＩＳ）：企業の同意のもと会計事務所が金融機関に決算書等を電子データで提供する無料のサービス。詳細はこちらから。

〈会計事務所のコメント〉
当関与先企業の社長は、メインバンクから会計事務所の変更を提案され、当事務所を訪問されました。当関与先企業への支援を通じて、世の中が大変な状況にあるからこそ、会計の持つ力を活用し、経営の先行きをしっかり管理することの重要性を実感しています。金融機関や経営者の方に、会計で会社を強くするＴＫＣシステムの導入効果や、“中小企業の伴走者”として熱い心を持ったＴＫＣ会員の税理士が数多く存在していることを、積極的に情報発信していく必要があると思っています。

顧問税理士：石塚啓治税理士事務所　税理士 石塚啓治(静岡県)