「創業初年度にまさかのコロナ禍で・・・」 固定費を削減し、新規事業の資金調達を実現
中古車買い取り販売の事業をスタートした直後に、コロナ禍に見舞われたA社長。資金繰りの相談を温井德子税理士にするうちに、やがて思わぬ方向に話は進んでいく。A社長にとって今年の春は、新規事業に乗り出す大きなターニングポイントとなった――。
〈社長の声〉
中古車の買い取り販売の事業を始めたばかりの創業初年度。当初策定した創業計画に基づき、今年1月に政府系金融機関から500万円の資金を借り入れました。これから業績を上げて返済していこうと意気込んでいたときに、コロナ禍に直面しました。
当初は、コロナ禍によって生活資金に困窮した人たちからの自家用車の売却依頼が増えると予想していましたが、その見込みは大きく外れ、ほぼ仕入れ(中古車買い取り)がストップ。ひと月400~500万円あった売上高がおよそ半分以下となり、1月に調達した資金はすぐに枯渇しそうな勢いで減っていきました。このままではまずいと思い、今後の資金繰りについて顧問税理士の温井德子先生に相談することにしました。
新規事業の夢を語る
まずは、足元の資金確保に向けて取りかかろうと、温井先生と一緒に会計システム(FXシリーズ)の「最新業績の問い合わせ」画面を見ながら、固定費の削減に着手することを決めました。削減できる固定費はないかと検討していく中で、以前はすぐに売り上げに結び付いていたウェブ広告が、今ではその効果が薄れていることに気付きました。そこで課金の契約体系を見直して、固定費の支出を抑えました。これに加えて、すぐに持続化給付金を申請したことにより、2~3カ月先までの資金繰りのめどが立ちました。
次に、今後の事業展開について検討したのですが、その際に、いつか実現したい新規事業があることを温井先生に打ち明けました。それはレッカー車を自社で購入し、保険会社からの依頼に応じて故障車や事故車の引き取り業務を行うというものです。前職で築いたコネクションを生かして、契約できそうな保険会社にすでに当たりをつけていました。このことを話すと、温井先生は「既存事業の先行きが見えないため、新規事業のほうを先に展開するのもありではないか」とアドバイスしてくれました。
当初の予想を超える資金調達
これを受けて、新規事業の採算についてさまざまなケースを想定しながら売上高のシミュレーションをし、車輛を購入する際の資金計画など、金融機関に提出するための各種資料を一気に作成。それらの資料をもとに、新規融資を申し込むことにしました。
はじめは500万円の運転資金を申し込むつもりでしたが、金融機関と交渉を重ねるうちに、新規事業のための車輛代と運転資金として真水(ニューマネー)の1000万円、さらに既存の借り入れを無利息融資に借り換えることにより、合わせて1500万円を資金調達できる見通しが立ちました。
温井先生からの親身なアドバイスにより、コロナ禍に見舞われながらも1歩前進することができました。自分でも驚くような展開となり、心より感謝しています。
<会計事務所のコメント>
最初に当関与先企業の社長から新規事業に関する話が出た時は、慎重にスタートする必要があると感じました。しかし、きちんと数字も検討されていたことに加え、大手保険会社というある程度売り上げを見込める得意先を持てることから、思い切って「新規事業のほうを先に展開してもよいのではないか」と提案しました。
最終的には、社長も新規事業を始めることを真剣に考え、金融機関に自信をもって説明できる事業計画を作ることができたと思っています。
顧問税理士:税理士法人TGNそれいゆ 税理士 温井德子(東京都)