ドキュメント「会計で、未来が変わる」③ 一人あたりの人件費を高く!
中小企業経営者と会計事務所の担当者のやり取りを描いた、ドキュメント「会計で、未来が変わる」を全5回シリーズで掲載します。
月次決算報告会で、税理士事務所の巡回監査士から質問があった。
「社長、変動損益計算書を見ると、
売上高の増加に応じて限界利益も増えていますが、
経常利益が減少しています。人の採用を増やしたり、
なにか設備投資を行いましたか?」
「最近採用難だと言われているので、売上が好調なうちにと思い、
営業担当を増やしました」
「たしかに今期から人件費が増えていますね。
固定費の伸びは、限界利益の伸びの
範囲内であることが望ましいのですが…」
「なるほど。これまで人材は私の直感で採用していたが、
今後は限界利益の伸びを意識して行うことにします。
しかし、若い社員は長続きしませんね」
「TKC経営指標(BAST)で同じ規模の
同業他社と比較すると、一人あたりの人件費が
平均を下回っているようです。これが若い社員が
辞めてしまう要因かもしれません。
労働分配率を適正に保ちながら、
一人あたりの人件費は高いのが理想です」
「どうしたらそのようなことができるようになりますか?」
「答えはひとつ!
毎期、限界利益を高めていくこと、です」
「よし、では一人あたりの人件費を
増やすことを目標に掲げて
挑戦してみよう!」